東京メトロは2016年1月28日に、丸ノ内線へのCBTC(無線式列車制御システム)導入し、2022年度末の稼働を目指すと発表しました。プレスでは、移動閉塞式を導入することによる列車間隔の短縮、双方向運行が可能になることによる輸送障害発生時の運転見合わせを減らせること、などが導入効果としてあげられています。
また、「東京地下鉄CBTCシステムの導入にあたって」*には、保安設備に起因する輸送障害は鉄粉などによる軌道回路不正短絡、ATC無信号受信等軌道回路に起因する障害が多数あることから、軌道回路の撤去による輸送障害の根絶することも、CBTCの導入背景となっている。
*鉄道車両と技術 26(1)=271:2020.8 p.2-6
当初、丸ノ内線は2022年度末、日比谷線は2023年度、半蔵門線は2024年度の導入予定が発表されていましたが、丸ノ内線は2024年度に延期となっています。他2線も延期されるものと思われます。
→2023年3月23日に東急電鉄と共同プレスリリースがあり、2028年度に半蔵門線と東急田園都市線で同一の無線式列車制御システムに更新すると発表しました。また、このプレスリリースの中で、日比谷線のCBTCについて2026年度稼動予定との記載がありました。
なお、正式発表は未だありませんが、東西線15000系にもCBTC用車上アンテナ取り付け用と思われる台座が設置されている車両もあります。
2022年夏頃より地上設備がお目見えし始めました。2.4GHz帯の電波の送受信には、トンネル内のフェージングを考慮したと思われる偏波ダイバーシティを採用していると思われ、アンテナの向きが水平/垂直偏波用の2つがセットになっている。
基地局。
位置確定・補正用の無電源地上子。
※地上子を挟んでいるケーブルは列車無線用の誘導線のためCBTCとは関係ない。
車両側も準備工事が進んでいます。元々、車上装置は準備工事がされていましたが、2021年夏頃より順次アンテナの設置などが進み出し、2022年11月より四ッ谷~荻窪間で第1期走行試験がスタートし、その後全線で試験が行われる見込みです。併せて、乗務員の習熟訓練なども予定されている模様です。
列車の運行の際は、列車の前後どちらかのアンテナが地上局と通信をしていれば走行可能としています。
各先頭車両にアンテナが取り付けられました。こちらも地上局同様に各アンテナが水平/垂直偏波用と向きが縦横違います。
運転席背面のスイッチには「ATP電源」、「ATP無線」、「ATC/P」のスイッチがあります。
日比谷線13000系。非常運転スイッチもお見えしました。
半蔵門線08系。準備工事がされ、計器灯に「ATP」「ATP非設」「ATC/P常用」「ATC/P非常」の文字が。
東西線15000系にもCBTCアンテナ台座と思われるものが設置されています。
2018年2月に三菱電機が、東京メトロに納入するCBTCの実証実験用として、方南町支線にて地上設備・車上設備の納入を行ったと発表しました。車上設備は02-181Fに取り付けされ、実証実験が行われたと思われます。
続く