これまでアナログ列車無線では、通話用1回線と、JR東日本首都圏エリアでは旅客一斉放送用の1回線、併せて2回線のみとなっていた。また周波数間隔が12.5kHzであった。これがデジタル回線では6.25kHzになることで、これまでの周波数幅に4回線使用することが可能となるため、これまでの音声1回線に加えて、第2通話回線、制御・データ回線が加わることとなった。これにより1ゾーン内通話回線が2つに増えたほか、通告伝達システム等による文字情報による指令・情報伝達が可能となった。また、TIMS等の車載情報システムから指令へ故障情報などを転送することも可能となった。
制御/データチャンネルと、旅客一斉/データチャンネルでは、通告伝達、運行情報、車掌用ATOSシステム、列車情報、車両故障管理、列車位置情報データのデータが送受信される。
東京都が浅草線でデジタル列車無線を導入するにあたり、東京都電子調達システムに「本装置における相互直通各社間で制定した共通規格に、上記業者独自の電波干渉対策技術が採用されており、その仕様等が公開されていないことから、上記業者以外の者が履行することができない。」と記載されていたように、三菱電機では無線品質の安定のために他社では採用されていないGPSを利用した基地局間同期を行っている。
「在来線デジタル列車無線システムにおける無線回線品質の評価」や「在来線デジタル列車無線システムにおける基地局間同期について」によると、同一周波数を単純に連続配置した場合、基地局境界付近でビート干渉が発生し、無線回線品質の特性劣化が顕著になることから、同一周波数同時送信方式を採用することで干渉を防ぐことが出来る。そのための基地局同士の同期について、JR東日本と三菱はGPSの時刻信号で同期している。
技術の詳細については割愛するが、この同期方法が特許になっていると思われ、他社が採用できない模様である。
更新履歴
2010年08月配信
2019年04月01日再編
2022年07月27日追記