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デジタル列車無線特集
feature article about Digital train radio system
 

~首都圏在来線デジタル列車無線化について~

 JR東日本は、在来線の列車無線が経年による老朽化の上、情報伝達など必要性などから、首都圏管内のJR各線の列車無線をデジタル化することになった。
2007年8月26日に山手線でデジタル化したのを皮切りに、2010年7月(計画では2009年度中まで)に計画路線全てでデジタル化を完了した。

首都圏在来線デジタル化移行状況

線区 路線名 ch 移行日
1号線区 山手線 A8→D7 2007/08/26
2号線区 埼京線
川越線
常磐緩行線
南武線
相模線
鶴見線
京葉線
高崎線
3 2009/01/25
3号線区 東海道線
常磐線
高崎線
東北貨物線
山手貨物線
五日市線
内房線
4 2009/07/19
4号線区 東北線
中央線*
総武線
成田線
武蔵野線
東海道貨物線
2 2009/10/11
5号線区 横須賀線
総武快速線
八高線
外房線
1 2010/01/17
6号線区 京浜東北線 6 2010/04/04
7号線区 中央緩行線
総武緩行線
横浜線
武蔵野線
青梅線
5 2010/07/04
旅客一斉情報装置 A7 2010/07/09
※上野東京ライン開業に伴い、中央快速線の四ッ谷~東京間がD2→D3へch変更しています。
 旅客一斉ch(旅客一斉情報装置)は従来のアナログの音声のみから、デジタル化に伴い音声データとデータ送信を共有する。
(指令側から車両側への運行情報と車掌用ATOS(運行把握モニタ)、車両側から指令側への車両故障管理)

回線の増加

 デジタル化することによって、従来の1線区音声2回線(通話・旅客一斉)から4回線に増え、音声通話だけでなくデータ通信も行うようになりました。

(左側が従来のアナログ無線、右側がデジタル無線)
 これまでアナログ列車無線では、通話用1回線と、JR東日本首都圏エリアでは旅客一斉放送用の1回線、併せて2回線のみとなっていた。また周波数間隔が12.5kHzであった。これがデジタル回線では6.25kHzになることで、これまでの周波数幅に4回線使用することが可能となるため、これまでの音声1回線に加えて、第2通話回線、制御・データ回線が加わることとなった。これにより1ゾーン内通話回線が2つに増えたほか、通告伝達システム等による文字情報による指令・情報伝達が可能となった。また、TIMS等の車載情報システムから指令へ故障情報などを転送することも可能となった。

 制御/データチャンネルと、旅客一斉/データチャンネルでは、通告伝達、運行情報、車掌用ATOSシステム、列車情報、車両故障管理、列車位置情報データのデータが送受信される。

(よく言われる)三菱がなぜ独自企画なのか

 東京都が浅草線でデジタル列車無線を導入するにあたり、東京都電子調達システムに「本装置における相互直通各社間で制定した共通規格に、上記業者独自の電波干渉対策技術が採用されており、その仕様等が公開されていないことから、上記業者以外の者が履行することができない。」と記載されていたように、三菱電機では無線品質の安定のために他社では採用されていないGPSを利用した基地局間同期を行っている。
 「在来線デジタル列車無線システムにおける無線回線品質の評価」や「在来線デジタル列車無線システムにおける基地局間同期について」によると、同一周波数を単純に連続配置した場合、基地局境界付近でビート干渉が発生し、無線回線品質の特性劣化が顕著になることから、同一周波数同時送信方式を採用することで干渉を防ぐことが出来る。そのための基地局同士の同期について、JR東日本と三菱はGPSの時刻信号で同期している。
 技術の詳細については割愛するが、この同期方法が特許になっていると思われ、他社が採用できない模様である。
同じく三菱製でデジタル列車無線システム共通規格外の京成線でもGPSアンテナが基地局に設置されていることが確認できる。

参考

更新履歴
 2010年08月配信
 2019年04月01日再編
 2022年07月27日追記
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